「生活圏」から「共栄圏」へ

 

国立公園(31ヶ所)や国定公園(56ヶ所)は、自然環境や景観に優れた地域を代表する広大な資源であり資産である。

しかし、残念ながら現況を鑑みると、行政区分ごとにその活用法は様々で、隣り合せや背中合わせの行政でさえ連携連動して動いていないのが実際である。つまり、都道府県や市町村が、補助金や予算の関係から行政区分ごとの小さな界隈性にこだわるばかりに、大きな可能性を秘めた国立公園のポテンシャリティを十分に活用できていないのが実際である。

行政区分毎の界隈性に縛られた「生活圏」という考え方から脱却し、関係する都道府県や周辺市町村がしっかりと連動し景観や文化、産業や観光誘客を図ることにより、広く面的な利益を追求すべき策こそが将来へ向け主軸をなす考え方でなくてはならない。

「 生活圏」という個的な発想ではなく共助共策共生の概念に基づいた「共栄圏」という新しい考え方こそが、今求められる最も肝要な発想であり、現況の行政区分をはるかに超えて企図することこそが、これからの地域の礎台づくりに欠かすことのできないものであると考える。

 

■ 現況の国立公園

 

共栄圏の基本的考え方としては、現況の日常生活エリアを将来に向け俯瞰から視認すれば、 身近な界隈における価値観だけではなく、広い視界で周辺を見渡すことにより、今後どの方向に進むことが肝要であるかが見えてくる。 例えば、北海道の道東をご覧いただきたい。ここには、国の出先機関である根室振興局の管轄下に知床国立公園がある。また、隣接する釧路総合振興局の管轄エリアには釧路湿原国立公園がある。更に、釧路と背腹の位置関係にある阿寒国立公園はオホーツク総合振興局がある。日本百山の一つでもある大雪山を有する大雪山国立公園は十勝総合振興局の管轄エリアとなっている。 道東の密接したエリアにありながら相互が賢明な連携連動を図り、自然保護や観光誘客、農魚産物の生産性をはじめ文化的、経済的向上等に取り組む施策は非常に希薄であると言わざるを得ない。有事の場合の対応や自然保護を主眼としたレンジャーの有り様、観光誘客を企図したアクセス、商品開発、要員配置など振興局単位のものが多くばかりか、更に、市町村単位に分断分割された施策ばかりといってよい。 例えば、これらが連携し限られた人材を有効に配置し、連携して観光客を誘客すれば、経済的にも大きく変化するのではなかろうか。 共栄圏とはまさに自身や地域界隈の利益にしがみつき、目先の利益から脱却し将来に向けグローバルな視点から現況の行政区分に縛られず広域的利益を如何にすれば効果的に成し遂げることができるのかを提唱するものである。

 

■ 理想とされる瀬戸内海共栄圏

瀬戸内海は文字通り風光明美な瀬戸内海を軸に、関西、中国、四国、北部九州が包含するように位置している。大阪府はもとより、瀬戸内工業地帯は高度成長を牽引してきた主要な生産拠点であり、今後も位置的条件や技術の蓄積、研究分野の充足等から鑑み、大いに期待できるエリアであるといえる。同時に、本四連絡橋や瀬戸内シーラーインなど、人、モノ、金が動活するための十分条件も拡充されている。 また、自然環境、歴史資源、文化資源、観光資源など、山あり海あり人ありの三条件も揃っており、現況の区分に捉われず共栄圏として密接に連携することにより「対アジア」「対世界」と言ったグローバルな視点で将来に向けた新しい戦略を展開しなければならないと考える。

 

■ 国の地方局ごとの現況数

(表をクリックすると拡大版が別ウィンドウで開きます)

※薄緑色の部分は藤本稔の見解である。潜在的な魅力等を数値化するにおいて、各省庁から出されている重要項目に関するデータを分析し、参考にした。上記の表はその内訳である。

 

日本は世界一の災害大国で、富の蓄積が難しく、地方の山奥、辺境の民は貧しい。戦後蓄積された地方のインフラ(治山・治水・道路・高速道路・港湾・漁業空港等)を生かし、日本の国立公園や国定公園を日本人が育て人間の価値・魅力・モラルを磨いて、日本列島を素晴しい舞台に変え、日本人、世界の人々に日本の食文化・土産・景観を堪能させ、地方の繁栄と雇用を守り、自立させ、『日本G5』を実現させたいのです。


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